JSA 公益社団法人 日本脳卒中協会 The Japan Stroke Association Boehringer Ingelheim

Q1.心房細動患者様における脳梗塞予防の重要性について

A


熊本市民病院 神経内科部長
橋本洋一郎氏

話せば長くなりますが、私は研修2年目(25歳)のときに、そこで心房細動のある患者さんが脳梗塞を起こして昏睡で家族の方がどうにか助けてくれと。一生懸命に治療したら思いのほか元気になられて。左の完全マヒだったんですが、車いすレベルでリハビリ病院に行かれました。

当時から、心房細動による脳梗塞は重症が多いというのを目の当たりにして…やはり非常に重症例が多くて、75歳くらいまでは従来の経口抗凝固薬を飲ませていたんですね。75を過ぎたら、副作用の面が多く出て、血も止まらんし脳出血も起こすしとかいって、そのため、結構、元気になられた方は従来の経口抗凝固薬なしでリハビリ病院に送っていた。すると足の血管に血栓ができて足が壊死を起こして。それ以降、私自身は心房細動患者さんの年齢に関係なく脳梗塞で倒れて、助かって、ある程度、元気になる可能性のある方には原則、経口抗凝固薬を使うことにしています。

現実的にウチの病院で診ていますと、脳梗塞の方の1/3が心原性脳塞栓症なんですよ。そのなかの7割が心房細動が原因ですね。非弁膜症性心房細動が原因で実はそういう方たちが一度脳梗塞を起こすと4割以上が重度障害なんですね。もう一発で寝たきりとかですね。残念ながら亡くなる方は8%くらいなんですよ。脳梗塞全体では死亡率3%ですが心房細動による方は亡くなっても8%くらい。ところが3・4割しか直接お家に帰れなくて6・7割の方は転院なんです。

非常に重度障害の方を多くみてきて、私たちが24時間救急をやっていても限界があるので、やっぱり一度起こした人は徹底的に予防する。もう一つは起こしていない人に心房細動が見つかれば、ガイドラインに従ってきちっと治療するということをやっています。30年間、救急病院に勤めていますけれど、脳梗塞特に心原性に関しては予防に勝る治療はないと思ってやっています。ですから僕らは特にアフターケアグループで、うまく治療できなくて重度脳卒中になる方をみていますので、予防が重要ですね、しっかり、かかりつけの先生や循環器の先生に心房細動で脳梗塞のリスクがあれば脳梗塞予防をしてくださいというのを、この20数年間言い続けています。